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「横浜未来機構宇宙プロジェクト」ミートアップ Vol.2を開催しました

「横浜未来機構宇宙プロジェクト」ミートアップ Vol.2を開催しました

横浜未来機構(YOXO)では、横浜に「宇宙をテーマとしたムーブメント」を巻き起こしていくべく、宇宙プロジェクトを立ち上げました。第2回は、キックオフでも登壇いただいた京都大学SIC有人宇宙学研究センター長の山敷先生の新刊「有人宇宙学: 宇宙移住のための3つのコアコンセプト」を題材に、座談会形式で開催しました。
登壇者は以下の5名で、バックグラウンドも年齢も実に多様な40名以上が参加しました。
・京都大学SIC有人宇宙学研究センター長・山敷庸亮氏
・宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究開発部門第二研究ユニット研究領域主幹・桜井誠人氏
・宇宙ビジネスメディア「UchuBiz」編集長・藤井涼氏
・株式会社Kanatta代表取締役・井口恵氏
・京都大学大学院総合生存学館博士課程・冨田キアナ氏

開会の挨拶として、冨田氏が宇宙飛行士・山崎直子氏(特任准教授)からのメッセージを読み上げました。山崎氏は宇宙に移住環境を構築することが地球の持続可能性にもつながると述べ、イベントでの活発な意見交換を期待しました。
各登壇者からの自己紹介の後、山敷氏が「有人宇宙学: 宇宙移住のための3つのコアコンセプト」に関する簡単な説明を行いました。著書では宇宙移住のための3つのコアコンセプト(コアバイオーム、コアテクノロジー、コアソサエティ)に基づいた研究の最先端が紹介されています。コアバイオームは水や食糧の生産を支える宇宙空間の自然環境であり、コアテクノロジーは人工重力や資源・エネルギーの利用に関する概念です。これらを基盤として宇宙空間での社会であるコアソサエティが成立します。著書では専門家たちが各概念について考察し執筆しています。
議論は司会者の後藤氏から参加者への「他の惑星に住みたいですか?」という質問から始まり、「月か火星か、どちらが住みやすいのか?」や「火星までの所要時間はどのくらいか?」などの質問が活発に行われました。
桜井氏は環境制御の観点から宇宙長期滞在について意見を述べました。火星訪問には往復で2年以上の時間がかかり、その間の生命維持には大量の水や空気が必要であり、資源の再利用可能性が重要であると述べました。
井口氏は宇宙滞在中の食糧供給について、宇宙食コンテストで優勝した経験を振り返りながら、宇宙という環境的制約とそこで必要な栄養を考えながら試行錯誤する過程の楽しさを伝えました。
続いて議論は宇宙と水資源・海に関する話題に移りました。山敷氏は火星に海を作るという夢を語り、地球型生命体を維持可能な海のようなエリアを火星に持っていく考えを示しました。また、イベント開催地・横浜の海と宇宙分野のリンクについても議論され、プロダイバーの森裕和氏と藤永嵩秋氏が宇宙飛行士選抜試験受験者向けのダイビング指導プログラムについて紹介しました。宇宙での無重力体験、三次元的な動きという観点から海と宇宙空間は共通点を持っていると、横浜-宇宙の繋がりを強調しました。

議論は宇宙でのビジネスチャンスや社会の形成へと展開され、藤井氏はこれまでに多くの宇宙ビジネスを取材した経験から、水・重力・放射線といった生命維持の部分にビジネスチャンスがあるのではないかとコメントしました。冨田氏は宇宙での集団生活におけるボトムアップ型の社会を率いるリーダーシップであるシェアードリーダーシップの重要性を強調し、合意形成のための丁寧な話し合いの必要性を述べました。
ビジネスの面では、米国のアルテミス計画(※1)に話題が及び、ロッキード・マーチンやスペースXなど参加する民間企業の技術開発が想像を超えるスピードで進んでいることが話されました。
日本においても、月に1000人規模の人が暮らす社会を作るための国際的な勉強会「MOON VILLEGE(※2)」のシンポジウムが今年12月に倉敷と鳥取で開催される予定で、国家レベルにとどまらず民間のチームでも有人を含む月探査への動きが加速していくことが予見されます。
座談会は登壇者だけでなく参加者も活発に意見を交換し、白熱した対話が繰り広げられました。
イベントの開始時には、山敷氏のシンセサイザーと京都大学学部生・大学院生制作の動画との共演もありました。

最後に、参加者からは登壇者と参加者の多様性に感動したとの感想が寄せられ、異なるバックグラウンドを持つ人々がクロスオーバーすることで生まれるイノベーションの素晴らしさを実感する有意義なイベントになりました。

※1 アルテミス計画(Artemis program)
アメリカ合衆国連邦政府が出資する有人宇宙飛行(月面着陸)計画。
この計画は、主にアメリカ航空宇宙局(NASA)とNASAが契約している米国の民間宇宙飛行会社、JAXAを含む各国の宇宙開発機関によって実施され、計画自体はNASAが主導しているものの、月面での持続的な駐留を確立し、民間企業が月面経済を構築するための基盤を築き、最終的には人類を火星に送る(有人火星探査)という長期的目標に向けた次のステップとして、国際的なパートナーシップが計画を前進させる上で重要な役割を果たすことが期待されている。

※2 Moon Village Association
オーストリアのウィーンに拠点を置く非政府組織 (NGO) として 2017 年に設立。月に社会を作ることに関心のある政府、産業界、学界、一般の600名を超える参加者と、65 か国以上からの 33 の機関会員で構成されており、関係者のための常設の世界的な非公式フォーラムとして機能している。
2023年12月6日~10日に倉敷と鳥取で大規模なシンポジウムとワークショップの開催が予定されている。
https://mva2023.jp/
(福井直樹・森下至子)

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